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その2 入院と手術

その1 症状発見〜通院、唾石症とは    その2 入院と手術(このページ)

1日目・火曜日
9:00 父に付き添われて病院へ。
入院受付窓口は、今日から入院、という大勢の患者さんでごった返しています。
入院というと、もっと厳かで物々しい雰囲気を予想していましたが、並行して受付をしていた年配の方も、病院の事務員さんも事務的そのもの。
で、書類の束と腕バンドをもらって病棟に行くように言われました。
入院歴のある父は手慣れた感じで病棟行きのエレベーターへ……違うんだなぁ。去年の12月から病棟だけ新しくなっていたのでした。

病棟の看護師さんに挨拶をして腕バンドを付けられると、いよいよ正真正銘の入院患者に。
顎の下を切って治るまで出てこられないのか……バンドに印字された自分の名前が重く感じられました。バンド1本だけで気分は半分病人です。
病室を見て私が「残念……通路側だった」と呟くと、父は「お前みたいな軽傷の患者は普通通路 側だろ」と。(実際、同室の窓側の患者さんは入院が長そうな方ばかりでした)


これは私の使用したベッドではなく、窓際のベッド。
(患者さんが一時退院した時に撮影)
10:00 父が帰った後も、荷物をまとめたり、クラークさんに病棟を案内してもらったり、耳鼻科外来に呼ばれたり、売店で飲み物を 買いだめしたりと意外に忙しい午前中を過ごしている内に、食事の時間。
どこも悪くないのに、病室に配食されました。食事は病室で取るのが原則で、申請すればデイルーム配食になるとのこと。病状が固まってから申請することにし ましょう。
クラークというのは、入院中の世話を焼いてくれる事務員さんで、医療行為はしないようです。

午後。看護師さんから「手術は翌日の9:00からで、前日の21:00から絶飲食(飲食禁止)」と告げられました。ということ は、夕食まで普通に食べられ るということ。この病院では浣腸などもありませんでした。

することがないので、早速、持ち込んだDVDを見始めます。全24話のドラマです。
途中、女房が偵察に来たり、麻酔科外来に呼ばれたり、思い出したように看護師さんが様子を見に来たり説明に来たり、と暇なのか忙しいのかわからない時間を 過ごします。
(ベッドに居ないと、用がある時に看護師さんが何度も探すハメになるので、おとなしくしていました)

私のベッド

初めての食事(昼食)は冷やし中華。
卵豆腐の味付けが薄く、ここは病院なんだと思い知らされた。
15:00 麻酔科外来
麻酔科外来に呼ばれ、医師から麻酔の手順や副作用についての説明を受けた後、「これはお願いなんですが……」と麻酔科の医師が1枚の用紙を取り出しまし た。

「救急救命士による気管挿管実習のお願い」……? 
救急車に乗務する救急救命士、現場での気管挿管が認められているところだが、中々気管挿管しなくてはならない患者に当たらなくて、腕を磨く機会がない。そ こで、手術の際に、麻酔科医師の指導を受けながら、実際に患者への挿管をさせたい……という趣旨の話で、同意するかどうかは患者さんの自由意志とのこと。

協力するに決まっているじゃありませんか。
てか、大学病院に入った時点で、医療の発達に貢献する覚悟はできています。快諾の意志を伝えると、衝立の奥から一人の若い救急隊の制服を着た男性が現れ、 こちらが恐縮してしまうぐらいに丁寧な挨拶を受けました。
この救急救命士さん、挨拶と本番のために、各日1時間以上かけ、隣町からこの大学病院に来るというわけです。

20:00
シャワーを軽く浴びてきました。これで数日間は浴びられなくなるようです。

21:00
看護師さんから薬をもらい、消灯と共に、絶飲食となりました。
寝られるかな? とiPhoneをこね回している内に、いつしか眠くなってきました。

腕バンド。患者さんの身元確認に必要なアイテム。
2日目  水   手術当日

6:30 起床 看護師さんが熱や血圧などを測りに来て、「弾性ストッキングを早めに履くように」とのこと。

7:45 子どもたちを送り出してからH病院に駆けつけた女房が到着しました。

8:00 看護師さんに連れられて、手術室へ。手術室への廊下は広い割に人気が無く、妙に緊張。途中、何カ所かの扉では看護師さんはIDカードをかざして 通っていました。
手術室エリアの入り口で、病棟の看護師さんにメガネを渡しつつ、術衣を着た看護師さんに引き渡されて、ずらりと並んだ手術室の一つへ。(後で調べたら11 室または13室ある模様)
妙に狭いベッドに横たわり、主治医の先生の挨拶を受けました。その他にも3人ぐらいの先生がいる様子。
気管挿管を行ってくれるという、昨日の救急救命士の姿はまだありません。

8:20 看護師さんによって、左手の甲に点滴の針が刺されました。それが痛いの何のって……「痛い」と言っても、意に介さず管が差し込まれていきます。
時計を見ると8:20 。看護師さんが点滴を始め、頭上の六角形のライトを見ていると意識が………………。

ちなみに、手術時間は9:00〜13:00ぐらいだったようです。
摘出する顎下腺がひどく腫れていて、3時間で済むところが4時間かかったとのこと。



手術の朝。

時計は無印良品で選び抜いたものを持ってきた。
ふだん使っているのは時々目覚ましが誤作動して……
13:35 昼寝から目覚めたような感覚。全身暑くて、汗びっしょりなのが自分でも分かります。
「えっ、もう終わったの?」と思わず口にしてしまうと、看護師さんが「お疲れさまでした〜」
先生もやってきて、無事に終わったことが告げられ「病棟に戻りますよ」と自分が横たわったベッドが動き出しました。
以前、父が手術したときもそうでしたが、手術終了近くに病室のベッドが手術室に運び込まれていたのです。
割と手術室近くで不安そうな女房と再会。迎えの時は手術室近くまで家族は入れます。
病室に到着し、点滴や酸素マスクが手早くセットされ、18:00までは飲食禁止&立たないように、とのこと。えっ、全身麻酔でもそんなに早く動いていい の? と意外に思いました。
上半身をひねることぐらいはできるので、金庫のカギをサイドテーブルに戻してもらったところで、女房は一旦帰宅します。子どもたちの下校時刻が迫っている から。
(一応、実家に帰るように言っておいたが)

「何時に来る?」「18時には動けるから、そのぐらいで」
固くカーテンの閉められたベッドでぼんやりと過ごしはじめますが、廊下のざわめきの中、酸素の音が妙に響いています。
それとなく体の状態を気にすると、左手には点滴の針が刺さったまま。その上には巨大な点滴の袋がぶら下がり、首筋には太い管。鏡で見ると、傷口にはテープ が貼られ、膿などを抜くドレーン(管)がかなり太い印象。
(傷は内側から「溶ける糸」で縫合しているので、抜糸はないそうです)
腰回りには導尿の管と紙おむつ。(以前、導尿はしたことがあるので様子は分かっています)
寝るでもなくぼんやりしていると、食事の放送。18時になったようです。(私は絶食中)

18:00 女房が来たところで、看護師さんが酸素マスクを外しに来ました。
立つことが許され、立とうとするとふらつくので、すぐにベッドへ強制送還。
冷蔵庫の中には色々買っておいた飲み物の中で、飲みたかったのはリンゴジュース。女房に紙コップに移し替えてもらって口にします。

19:00  狭いカーテンの中で女房が手持ちぶさたにしていたので「帰ってもいいよ」と声を掛けます。子どもたちの食事こそ実家に頼んだものの、女房がもらった休み は今日だけなので。

21:00 試しに立ってみると、何とかデイルームまでは行くことができました。導尿の管が邪魔ですが。


酸素マスクを取る前に記念撮影
鏡を使ったので、iPhoneのリンゴマークが反転しています。
iPhoneの奥に傷口が隠れています。
3日目 木
朝一番、看護師さんに導尿の管を外してもらいました。
1日だけだったのにこんなに痛いものだと思ったのですが、前の時は「腰椎麻酔+導尿」だったので1週間でも平気だったのでしょう。
看護師さんから立てることを念押しされてから管を抜かれたのは、立って歩けないとトイレに困るから。

ところで、昨日から続いているのが寝返りを打ったときの足の痺れ。
びりびりと毛細血管が刺激されるような感触。何なんだ?
ドレーンから続いている袋には少しずつ血液のようなものが溜まり、回診時には50cc抜き取られました。

今日は丸一日点滴とのことで、どこに行くのにも点滴棒を押していきます。
麻酔科外来へ受診。脚の痺れを訴えますが、麻酔の関係ではない様子で整形外科にかかるように指示されます。

iPhoneを少しいじった他はDVDを見る気にもならず、トイレ以外はぼんやりと横たわって一日を過ごしました。

ドレーン(管)から排出された血液や膿は、この袋に溜められます(画像はモノクロに加工)
4日目 金

朝の点滴で一旦終了。夕方の点滴まで針だけ刺した状態で過ごすそうです。
弾性ストッキングを脱ぎ、病院の寝間着から、持参のパジャマに着替えると、ちょっと気が晴れます。
今日、ドレーンから排出された液体は25cc。明日管を抜いて、月曜日退院の見込みとのこ と。

売店へ飲み物を仕入れに行きますが、足が痺れて引きずって歩く感じ。ゆっくり、ゆっくりと歩みを進めていきます。
あとは、ひたすらDVD。12巻セットで買ったときは早送りのオンパレードで観たのが、今回は台詞もじっくりと堪能。
入院期間が短いので、術後2日目にして会社関係の人が立て続けに見舞いにきてくれました。夕方、小さな点滴を受けて針を抜いてもらいます。柔らかい管が意 外と手の甲の奥まで入っていたようでした。

というか、病棟の規模の割には全体的に見舞客が少ない気がします。
長く入院している患者さんが多く、お見舞いの密度が薄いのだろうと推察。
(以前、別の手術で入院した所は平均して2週間で皆退院していくので、見舞客が多かった=密度が濃かった)

子どもたちも初来院。上の子は病室の構造に興味津々。私たちはもちろん、四人いる祖父母たちも病院とは縁が無い人ばかりだもんね。
ドレーンを挿して3日目。ドレーンの先っぽが傷の中で暴れ回っている、というような感覚がして傷口部分の腫れがひどくなり、何度もナースコールして保冷剤 を持ってきてもらいました。

こんな感じで食事は用意されます。煮物にはしっかり火が通って柔らかかったです。
5日目 土
朝の回診でドレーンが外れました。大きなガーゼが傷口に当てられ、一回りすっきりした感じがしました。
入院後、初めて洗濯したり、昨日に続いて売店への散歩も。足の痺れが気になります。

午後、見舞客1組。
夕方、全24話のドラマを見終わりました。結末の部分は何度も観ていますが、最初から見通すと改めて感動します。
夜、子どもたち来院。退院が近いから来なくてもいい、とは言ってあるのですが、見舞いにかこつけた夜のお出かけが目当てだったのかな。
子どもたちが帰った後、4日ぶりにシャワーを浴びました。(首から下だけ)
短い入院だから気になりませんが、長期入院の方はシャワーだけでは気の毒に思いました。
(というか、入院患者さんは朝にシャワーを浴びる方が多いようで、夜の予約はたやすく取れる)

6日目 日
回診でガーゼを取り外されました。
切開した傷口はむき出し。ドレーンの傷だけ絆創膏を貼られました。傷の跡が真っ青になっているのが気になりますが、短期間でよくもここまでふさがるものだ と感心。
先生からは明日退院と正式に告げられました。確かに、外見からはどこが悪いのかは分からないぐらいです。
今日も洗濯と売店まで散歩。脚の痺れは相変わらず。
さて、DVDドラマも見終わったし、映画でも、と思ったのだがなかなか食指が伸びず、環境映像をぼんやりと見ているだけ。青蔵鉄道のドキュメンタリーなん て、なかなか渋いですね。
今までの疲れがどっと出た感じで、入院してから初めて昼寝。

看護師さんから、「明日の退院は午後になります」と言われました。
回診が教授回診となり、それが午後になるという、院側の都合だとのこと。
あっという間の入院生活。休暇も残っているし、一刻も早く出たい訳でもないので、完全にお任せモード。
身内や上司が次々と来訪しました。

食事の後、子どもたちも来院。明日退院なのに、一体何しに来たんだ?
シャワーは再び消灯直前のすいている時間を利用。今日は数日ぶりにして最後の洗髪。全然泡立たなかったです。
7日目 月

入院生活最後の日。朝食を初めてデイルームで採りました。
「申し込まないと病室配食」のため、申し込み損なっている内に最終日になってしまったというわけです。
窓際のテーブルにトレイを運び、景色を眺めながらあっという間の入院生活を振り返ります。てか、ベッドが通路側だったので、こうやってじっくりと景色を眺 めるのは初めてだったりします。

食事のあとは、看護師の指示で病室で待機。整形外科からの呼び出しがいつあるか分からないそうです。脚を診てもらうため、短パンにTシャツとパーカーに着 替え、ベッドの上でiPhoneいじり。今からDVD観てもねぇ……

10:00 整形外科外来に呼び出され、診察を受けると「腰の神経を痛めているらしい」との診断でした。末梢神経外来の受診日の予約を取り、それまでの薬 が出るとのことです。神経か……長引くかなぁ、とちょっと心配に。
病室に戻る途中、廊下で同僚にでくわしました。シフトの関係で駆け込みで見舞いに来たとのことです。
病室が遠いので、廊下のベンチでしばし談笑。

11:00 医師が病室に来訪。傷口を確認した後、
「もう(今から)退院してもいいですよ」と告げられました。ええっ、早いよぉ。さすが患者を追い出す退 院させるのが早いと評判のH大病院ですww
(当初の午後退院予定というのは、教授回診の為というよりも、整形外科外来の時間が読めなかっ たためだったらしい。確かに、傷口がふさがって退院寸前の患 者を教授に診せる必要もないだろう)

クラークさんに退院手続きやその後の事を色々確認した中で、昼食の取り消しが間に合わないというので、食べてから退院することにしました。14:00の教 授回診までのんびりしているつもりだったので、すぐに女房に連絡し、荷物をまとめはじめました。
女房は入院費を用意しなくては、と慌てていたが、麻酔科の計算ができていないので今日は支払えない(後日支払)とも伝えておきます。

朝食は申請しないとパン食。




着替えた状態で食べた昼食

12:30 最後の昼食をデイルームで済ませ、部屋に戻ると女房が現れたので、同室者とナースセンターに挨拶をして、あっさり退院。あっけない感じでし た。

夕方、子どもたちにせがまれて買い物に行くことになりました。
地デジテレビの購入を私が退院するまで待っていたのです。
が、足の痺れは収まらず、杖を突いていくことにしました。
(杖は登山用のステッキを使用。この後3日間は杖を使用した)

奥の新しい建物が現在の病棟と手術室など
持っていったも ので役に立ったもの
入院は初めてではなく、その経験も踏まえて……

ヘッドホン、モノラル−ステレオ変換プラグ、ヘッドホンの延長コード。
イヤホンでテレビを聴くと疲れます。また、病院によってはテレビがモノラルという場合もあるので……。ヘッドホンやイ ヤホンのケーブル、最近は短いモノも多いのでテレビの位置関係によっては便利です。

電気の延長コード。
通常、患者が使えるコンセントは1口。ですが、DVDを見ながら携帯の充電をしたいときに便利です。
(携帯=オフラインにして、ゲームやアプリに利用)

大きめのタオルか薄手のタオルケット
寝冷え防止用。あまり大きかったり厚いと、自分で洗濯したときに乾燥が大変。

紙コップ
湯飲みやマグカップ、洗うのめんどくさいですよね。私の場合、マグカップは水または白湯専用で使っていました。

ワンセグ付きDVDプレイヤー
ニュース程度ならワンセグで済ませると、テレビカードの減りも少なく……
(もともと、あまりテレビを見ない習慣の自分は、入院中の1週間で23分しかテレビを見ませんでした)

ノート
おしっこの回数を聞かれるので、書き留めておきます

クロックスのようなサンダル
H大病院はスリッパ禁止です、というか、点滴棒を押したりするときなど、スリッパだと歩きにくいです。普段、それをあ まり履かない私は、ホームセンターで安物の新品を用意しました。

         
上記の商品は参考例です。
費用

仮に、全く保険制度がない場合だと、総額で40万円近くになります。(=H大病院の売上)
手術代より麻酔代の方が高額なのは意外でした。
実際には「高額療養費」のおかげで、それなりの金額で済みます。
(受診時に『手術と入院は月をまたがないでほしい』と医師に伝えると、医師も心得ているので、空き枠があれば聞いてくれます。)
また、生命保険の入院給付金についても調べておくと、人によっては黒字になるでしょう。


女房と二人で快気祝いへ。(浜松城近くのホテルで)


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