飯田線秘境駅号の車両運用
知っている方にはつまらないネタかもしれませんが、乗車前にいくら調べてもこのネタを載せているサイトがなかったので、ちょっと書いてみます。
飯田線秘境駅号に使われている、JR東海の特急型373系は全部で
14編成在籍しています。
1995年に登場した時は「ムーンライトながら」の運用を持っていて、毎日東京-大垣を夜行列車として結んでいましたが、同列車の担当がJR東日本に変わ
り、仕事を失ってしまったので少々余剰気味になりました。
(2017年現在、373系の定期運用は、特急伊那路、特
急ふじかわ、ホームライナー、普通のいわゆる「乗りとく列車」のみ)
そこで、飯田線秘境駅号やさわやかウォーキング号などの企画列車に
も充当されるようになりました。
通常、飯田線の「特急伊那路号」には2編成の373系が用意されます。豊橋→飯田→豊橋を「伊那路1号と伊那路4号」で往復する運用と、飯田→豊橋→飯田
「伊那路2号と伊那路3号」で往復する運用です。
(ダイヤグラムの読めない方にはわかりにくいかも。縦軸が距離で、横軸が時間です)
観光や用務にちょうどいい時間に運転するため、図の青い部分は車庫で休憩しているというわけです。
ここに、飯田線秘境駅号のために1編成を用意すれば、一往復出来る勘定なのですが、飯田線秘境駅号は急行の割に鈍足なので、飯田線秘境駅号だけでは豊橋→
飯田→豊橋の往復ができません。
(下りの飯田線秘境駅号が
15:30に飯田駅に着くの
に、上りの飯田線秘境駅号は
13:08に飯田駅を出てしまうの
で)
観光列車が全国から利用客を集めるためには、出発が早すぎたり、到着が遅すぎたりしてはいけないので、豊橋発着の時間は動かせません。
(伊那路号も飯田線秘境駅号も、豊橋駅発着の時間は極めて近接しています)
そこで、同じ形の車両で運転する「伊那路1号」「伊那路4号」と車両を交換することを考えた知恵者がいます。
「伊那路1号」は「上りの飯田線秘境駅号」、「下りの飯田線秘境駅号」は「伊那路4号」として折り返せば、観光客の動線にも合うし、車庫での清掃(青で示
したところ)も出来るわけです。それをするために、飯田線秘境駅号は上下ペアで運転されます。
行きの車内で「この車両が帰りも飯田線秘境駅号として運転される」とドヤ顔で説明していた鉄道ファン風のおっさんがいましたが、ちょっと違いますww。
(指摘して場の空気を濁してもつまらないので、黙っていました。パンフレットを見れば同じ車両が折り返せないのは分かるのに)
予想通り、天竜峡から乗った飯田線秘境駅号は行きと同じF1編成(クハ372-1が付いている)でしたし、温田で飯田線秘境駅号どうしのすれ違いがありま
した。
下図の黄色で示したとおりに私たちは天竜峡を往復しましたが、
逆に豊橋から(下りの飯田線秘境駅号で)天竜峡方面に向かいながら秘境駅を探索し、帰りは特
急で一目散に帰ってくる観光客も居るということです。
(下りの飯田線秘境駅号は、平岡駅で列車交換と普通列車を先行させるため、待避線に入ります。そのときの約40分間、乗客は全員列車から降ろされて、駅前
のイベント会場か駅舎で過ごさなくてはならないそうです。ただ、下りのほうが私達の利用した上りより各駅の停車時間が長く、新城駅での物産販売も加わり、
帰りは伊那路号でぐっすり寝ていけていいかもしれません)
天竜峡の観光ガイド、平岡駅のゆるキャラや地元の皆さん、中井侍駅のお茶屋さんは下りと上り、2本分のお客さんの相手をすることになります。