「天は赤い河のほとり」パロディ小説(12)7人の子供の小冒険記
登場人物
28巻でしかお目にかかれない子供達が多いので、先に説明しておきます。子供の年齢について
デイル(デイル・ムワタリ) 6歳 カイル・ムルシリとユーリ・イシュタルの長男で、将来の皇帝となる人物。 ヤズとキシュ 6歳 キックリと双子妻のシャラの子。双子兄と呼ばれている。 バハルとギュズ 4歳 キックリと双子妻のリュイの子。双子妹と呼ばれている。 ミツキ・エビス 6歳、
ミニイ・コノハナノサクヤノヒメ 5歳シュンシューン・イナリとアリエル・ベンザイテンの子供。
一家で「太陽の昇る国」からタイムスリップしてきた。
王宮で
皇帝が即位して数年。 すっかり落ち着いた世の中。
今日は、皇帝カイル・ムルシリ2世陛下の誕生祝いの宴席が開かれている。
宴席にはカイル、ユーリの他、側近や一部の文官なども呼ばれている。
元老院文官、シュンシューン・イナリや妻アリエル・ベンザイテンも呼ばれていた。子供達は、といえば王宮内「野ウサギの間」に臨時の託児室が設けられ、保育担当の女官が簡単な食事を出して子供達を見ていたのだが・・・
野ウサギの間で
食事がすみ、女官たちが片づけでバタバタしているころ、デイルは双子兄妹とミツキ、ミニイを室外に連れ出し、中庭の片隅でしゃべっていた。
「ミツキ、そういえばこの間、おれの母さんが『東京ディズニーリゾート』に行ってきたと父さんにしゃべっていたけど、ミツキは行ったことあるのか?」デイルはミツキとミニイに尋ねた。
「デイルさま。ボクは小さいときに行ったことありますが・・・・・・・」と知っていることを洗いざらいしゃべった。宴会は延々と続いており、まだまだ家に帰れそうもない。
「まあ、楽しそうなところ」「行ってみたいわ」双子妹のギュズが言った。
「きっと、夢のような世界なんだろうな」と双子兄のヤズ。7人は忍び足で王宮のある場所に向かった。
出発
数分後、7人はシュンシューンの執務室にいた。
デイルが『皇太子の命令』で扉を開けさせ、室内に入った。
ミツキは、父親の棚から箱に入ったタイムマシーンを取りだした。未来人が書いたマニュアルをもとに、タイムマシーンにエネルギーを注入し、縮小光線を浴びて乗り込んだ。
「へえ、昆虫の形をしているんだ」さすが古代人。ゴキブリを見ても動じない。「ミツキ、大丈夫か??」「うん。一回だけ父さんに乗せてもらったことがあるから」
東京ディズニーリゾートへ
操縦席には行き方を書いたマニュアルがあり、タイムマシンは2001年7月17日の東京ディズニーランドへ着いた。
(しまった。2004年に行こうと思ったのに、ずれちゃった。)
東京ディズニーシーはまだ工事中だが、テシュプランドの手本となったディズニーランドでたっぷり遊べるかな??。みっき〜は密かに考えた。回りの景色に目を見張った一行だが、まず、ディズニー神のお使い、ミッキーマウスさまに会いたいと言うので、「ミッキーの家」がある トゥーンタウン方面に向かう男性ゲストの肩に掴まった。惜しいことにトゥーンタウンまでは合っていたが、そのゲストが入ったのは男子トイレ。
トゥーンタウンの男子トイレにはパーク内の男子トイレで唯一オムツ交換台が付いている。(2001年当時)
おむつ交換台にいる男性ゲストを見て、デイルが「あれ??、シュンシューンじゃないの」「ホントだ」
さらに、「お兄ちゃん、紙パンツ替えてもらっている」とミニイ。
「みんな、はずかしいから、やめてよ」とミツキ。
そう、皆は21世紀の紙パンツ交換を見ていたのだった。
(ちなみに、このときのみっき〜は2歳0ヶ月である:管理人註)
ディズニー神のお使い、ミッキーマウスさま
「そういえば、昔、パパと二人で来たことがあったんだけど、丁度その日に着いちゃったみたい」とミツキは言った。
タイムマシンはゲストの合間をかいくぐり、ミッキーマウスさまの部屋の前に着いた。
だけど、ミツキはパニックになりかけた。ミッキーマウスさまの部屋は4つあったのだ。どの部屋にいらっしゃるのか。確率はわずか4分の1である。
意を決して入ったのは「ミッキーの夢物語」の部屋。いたいた。
「これがディズニー神のお使い『ミッキーマウスさま』ね。」「私たちが石像で見るヒッタイト幾千の神々よりずっとかわいらしいわ」「これは何の神さま??。」「子どもの神さまかしら」やっぱり子供達のアイドル、ミッキーマウス。皆は物陰からじっと見ていた。
ミッキーさまの・・・・・
しばらくすると、参拝客の列が途絶え、ミッキーマウスさまの随従と思われる人が声をかけた。
さきほどから使われていなかった緑色の扉をあけると、ミッキーマウスさまは扉の奥の階段を上がって2階に向かった。
ミツキたちのタイムマシンも、ミッキーマウスさまの黒い耳に掴まって付いていく。
長い廊下を進み、途中で乗り物に乗ったりして、ご休憩場所に着いたようだ。
すると、タイムマシンはふわっと宙に浮かび、衝撃と共にさっきまで掴まっていた耳から落ちた。「いってー」「あいたたたた」ミツキはタイムマシンの姿勢を元に戻して室内を見回すと、そこには驚くような光景があった。
室内にはミッキーさまやその兄弟姉妹と思われるねずみ、アヒル、リスなどのお使いが数名いるほか、胴体はミッキーさまで顔は人間という者も何人かいたのだった。
みな、状況が分からず呆然と見ていた、が長くは続かなかった。
「キャー、ゴキブリ」と、タイムマシンが追いかけられるハメになったから。
満喫
蒸気船の操舵室その後、一行はディズニーランドを満喫した。
2001年7月の実際のインパで撮影
「蒸気船マークトウェイン号」では、操縦室(操舵室)に上がってびっくり。
シュンシューンとミツキが操船しているのではないか。
「へえ、ミツキたちってこんな大きな船も操船できるんだ」「うん」(とは言ってもよく覚えていないけど。2歳の時だもん)その後、数々のアトラクションを回った一行。「さあ、お腹がすいたから帰ろうか」「ええ」
そのとき、ミツキが重大発言をした。「帰り方がわからない・・・」
帰れない
「ええっ」「うそー」楽しいタイムマシンは、一気にブーイングで満たされた。
ミニイが「お兄ちゃん、マニュアルは??」 「帰りの分は漢字にルビが振っていなくて読めないんだ」
「うわーん」まず、状況を一瞬で理解したミニイが号泣した。つられて双子兄のヤズとキシュも。
「お兄ちゃん、ミニイちゃん、しっかりしてよ」と双子妹のバハルとギュズはなぐさめに回っている。
顔面蒼白のミツキに、デイルが声をかけた。
「ミツキ、くじけないで。ボクのお父さんとお母さんはこれ以上の危機を乗り越えて皇帝とタワナアンナになったんだ。道は必ず開ける!!」
デイルの力強い励ましに、ミツキは奮い立った。タイムマシンの中に何か手がかりがあるのかもしれない。
デイルとミツキ、それに泣きやんだミニイはタイムマシンの中を探した。
すると、ある座席の下に、奇麗な箱があり、ひもで座席の下に固定されているのを見つけた。
「なんだこりゃ」デイルは剣でひもを切ると箱を取りだした。
箱の表には何やら「太陽の昇る国」の言葉が書いてあった・・・・・・
そのころ、王宮では・・・・
「近衛兵、子供だけの一行を文官の執務室に通すとは何事だ」
「皇帝陛下、タワナアンナさま、申し訳ありません。皇太子殿下のご命令でしたので」
「だからといって、常識で考えなさいよ」「返す言葉もございません。」シュンシューンの執務室の前では、数名の近衛兵が皇帝陛下たちの前でひれ伏していた。
カイル、ユーリ、キックリ、シャラ、リュイ、アリエルは心配そうにしていた。
誕生祝いの宴の途中、異国の猿回しの演技があるというので、侍従が子供達を呼びに行ったら、野ウサギの間にいない。探し回っていたところ、シュンシューンの執務室に子供達が入り、消えてしまったというのだ。タイムマシンで未来に行ってしまったのでは、武術や魔術の使い手である皇帝陛下の力を以ってもどうしようもない。
近衛兵を叱りとばしても仕方ないので、皆ため息をついていた。
宴はいつしか中休みとなり、けだるい雰囲気と悲壮感がただよった。酔いもすっかり醒めてしまった。
そのとき、トイレから戻ってきたシュンシューンが皆に言った。
「タイムマシンの操作は私の他はアリエルとユーリさま、それにミツキしかできないはずです。タイムマシンにミツキが乗っていれば、大丈夫」
「えっ」「本当か、シュンシューン!!」「シュンシューンさま・・・・」
箱の中身
そのころ、タイムマシンでは・・・・・
「ミツキ、お前の国の言葉のようだが、何か書いてあるのか??」「デイルさま、少しお待ち下さい」
ミツキとミニイは箱の上の言葉を見た。
『ミツキとミニイへ』
中を開けると、日本のメモ用紙に日本語で書いてあった。
実際は全部ひらがなで書いてあるのだが、読者の皆さんが読みやすいように漢字かな交じり文で書きます:著者註
ミツキ、ミニイ。この手紙を読んだということは、タイムマシンを勝手に持ち出したということかな。
きみたちがこの世界にタイムスリップしてきて、色々辛い思いをさせているのはお父さんもわかっている。
テレビゲームに、ディズニーやしまじろうのビデオ、ディズニーランド。なつかしくなったのかな。
でも、大切なタイムマシンを勝手に持ち出すことはいけないことだ。
お父さんは、執務の合間にタイムマシンの研究をして、21世紀の日本に帰れないか調べているところ。
このタイムマシンを壊したら本当に日本に帰れなくなってしまうよ。
とりあえず、ヒッタイトに戻ってきなさい。
お父さんは君たちを叱らないことを約束しよう。ヒッタイトへの戻り方だが、マニュアル通りだとうまく行かないようだ。
まず、YearMeterを-XXXXにし、Magic Codeに0033、TimeModeを・・・・・このように操作すると、こちらから出発してから、現地で過ごした時間分、時間が経過した後にもどることができる。
シュンシューン・イナリ
デイルとミツキ
「デイルさま、帰り方が書いてありました。」「よかった、よかった」
「ただ・・・・・」「何だ??」「父さんが指定した操作方法だと、同時に2つのレバーを引かないとならないのですが、私の手では届かないのです。非常に固いレバーですのでミニイでは引けません」
「よし、私も手伝おう」「お願いします」「エネルギー充填100%」「エンジン回路直結」「Year目盛りよし」「5・4・3・2・1、出発」
お帰り
カイル、ユーリなど7人の両親7人は、執務室の大理石の板の上に目をこらしていた。
ここに、ゴキブリ型のタイムマシンが戻ってくるはずだ。
向こうで過ごした時間分は戻ってこないので、いつになるかは分からない。数刻後、大理石の板が光ったと同時に、ゴキブリ型マシンが現れ、解除光線で元通りになった子供達が姿を現した。
「デイル、皇太子の権力をこんな事で使うんじゃないの」ユーリはデイルに平手打ちした。
「パパ、ごめんなさい」「ミツキ、よくやった」シュンシューンはミツキの頭をなでた。
「デイルさまが・・・・・」「そうか。・・・・・デイルさま、ありがとうございます」
「ママー」「お帰り。」アリエルは、ミニイを抱き上げた。
「わーん、わーん」兄弟はまだ泣いている。
「もう、お兄ちゃんたちはずっとめそめそしてたんだから」と妹のバハル。
でも、双子妹は母親たちのドレスの裾をにぎったまま、絶対に離そうとしなかった。
子供の年齢について
子供達を使って、冒険ものを書きたかったのですが、子供達の年齢がうまく合わない・・・
デイルが生まれる数年前を舞台にしたパロ小説(例えば 話『新皇帝の失敗』)で、既に子供としてミツキとミニイが登場しているのですが、ここは同い年かそれに近くないと面白くないので、敢えて年齢の設定は合わせていません。
年齢差を計算した方、ごめんね。
ちなみに、ミッキーマウスさまの控え室の様子は、100%管理人の想像です。
いかなる関係者等からも情報の提供は受けていませんし、このページに関しては情報提供その他を受けるつもりはいっさいありません。
(タイムマシンの窓越しの景色という設定で、実際とは異なると思われるものを考えました。)また、このページは紀元前のヒッタイト帝国を背景にしたコミックのパロディページであり、ディズニーを扱ったページではありませんので、ご了承下さい。
体験記で使用した写真は「自らの体験記のパロディ」という位置づけで使用しています。
(C) 2004-2018 SHUN-SHUUN INARI